月別アーカイブ: 2023年12月

vol.1377 プロフェッショナルな照明設計に必要な能力(2)

照明設計の初心者は照明配置図の作成を目的化してしまい、

・空間の用途や目的の明確化
・空間における最適な光の状態の決定

といった照明設計の根幹となる最も大切なプロセスを飛ばしてしまう。
特に、初心者にとって難しいようなのが

・空間における最適な光の状態の決定

というプロセス。
これを行うには、先ず、頭の中で空間がきちんとイメージできなければならないのだけど、これがなかなか出来ない方が多いようだ。

そんなお話しをしてきました。

〈vol.1375 照明設計で絶対にやってはいけないこと〉
https://bit.ly/3tfxAKg

〈vol.1376 プロフェッショナルな照明設計に必要な能力(1)〉
https://bit.ly/48jFOzM

でね、

・空間における最適な光の状態を決定する

というプロセスには、「頭の中で空間をイメージする」ことの他に、もう一つ大切な技術が必要なのです。

それは「光の状態をイメージする」こと。
照明設計初心者にとって、これは「頭の中で空間をイメージする」以上に難しいのではないかと思います。

なぜなら、光そのものは目で直接見ることができないから。

空間に存在する光の状態を視覚的に確認することはできません。
つまり、「見えないものをイメージ」しなければならないというわけです。

そんな雲をつかむようなこと、どうしたらできるのでしょう。

そこで必要になるのが光の知識。
照明理論あるいは照明工学の素養です。

・光の性質やふるまい
・光が表現すること(色彩)
・光に対する感受性(視覚)

光は目で見ることができません。
見えないものだからといって闇雲に、いい加減にイメージするわけにはゆきません。
見えないがゆえに、ガイドとして光の本質に関わる知識を頼りにするのです。

照明設計を行うためには、素材となる光を熟知している必要があります。

光の知識、つまり照明理論あるいは照明工学の素養をしっかりと身に付けていること。
そして、その知識を臨機応変、適切に活用するスキルを身に付けていること。

この二つが揃って「光の状態をイメージする」ことができるのです。

照明設計の根幹となる最も大切なプロセス

・空間における最適な光の状態の決定

のために必要な能力は二つ

・頭の中で空間をイメージする
・光の状態をイメージする

こと。
これらが、プロフェッショナルな照明設計に必要な基本の能力です。

*2023年の配信は本日が最終日です。
今年は投稿が少なくて忸怩たる思いでいます。
来年は多くの投稿ができるようにしてゆきたいと思っております。
新年は1月9日より配信を再開する予定です。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
急に寒くなってまいりました。
お身体大切に、よいお年をお迎えください。

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vol.1376 プロフェッショナルな照明設計に必要な能力(1)

前回の記事

〈vol.1375 照明設計で絶対にやってはいけないこと〉
https://bit.ly/3tfxAKg

では、照明設計の初心者は照明配置図の作成を目的化してしまい、

・どの照明器具を
・どこに配置するか

ということに意識が集中してしまう。
その結果、

・空間の用途や目的の明確化
・空間における最適な光の状態の決定

といった照明設計の根幹となる最も大切なプロセスを飛ばしてしまう。

ということをお話ししました。

特に、初心者にとって難しそうなのが

・空間における最適な光の状態の決定

というプロセスです。

これを行うには、先ず、頭の中で空間がきちんとイメージできなければなりません。
それがなかなかできないらしいのです。

要するに、図面から空間を読み込むこと。

照明設計に際しては、平面図や家具や什器のレイアウト図といった平面の情報が書き込まれた図面と、立面図や展開図といった鉛直方向の情報が書き込まれた図面を用います。

この二種類の情報から、頭の中にその空間の様子を三次元でイメージするのです。
いわゆる空間認知能力と言われているものでしょうかね。

非常に感覚的なスキルなのですが、多分、これは訓練することで備わるのではないかと思います。

「思います」というのは、実は私はこの仕事をするようになってから特に訓練をしたという記憶がないのです。
別に、教えられるまでもなく出来ていたのですよね。
平面の図面と鉛直方向の図面、二つをかわるがわる見ているうちに頭の中、ちょうど眉間のちょっと奥のあたりにふわ~っと三次元のビジュアルが浮かび上がってくるのです。

思えば…
子供のころから家の設計図を見るのが大好きでした。
住宅やマンション販売の新聞の折り込みチラシを見るのが楽しかったなぁ。
それから、実家を建てるときに母が買い集めた住宅雑誌に載っている物件の図面と写真を見比べて、

「あぁ、図面のここは実際にはこんな風になっているのね…」

なんて、生意気にも確認してたりして(笑)。
もちろん今でも設計図を見て空想するのは大好き。

もしかすると、こんな子供のころからのお遊びが、仕事に役立ってくれているのかもしれませんね。

ともかく、頭の中で空間をきちんとイメージすることができるようにトレーニングすることです。

と、こんなことを言うと

「頭の中でイメージなんてしていないで、CG作っちゃえばいいじゃない」

と思う方がいるかもしれません。

でも、もし自らイメージすることを放棄してCGに頼ろうというのであれば、そのような方には照明設計は無理でしょうね。
なぜなら、この次に行うことはより高度なイメージング能力を要することだからです。

(つづく)

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vol.1375 照明設計で絶対にやってはいけないこと

終わったぁ~~~。

先週をもって年内の出張業務が終了しました。
今年も随分と出張の仕事がありましたが、特に11月中旬からのこのひと月は毎週入っていたのです。

疲れました。

実は去年も同じような頻度で出張していましたが、歳を取ってくると身体への負担が年々増しているように感じられてなりません。

そんなわけで、週末は疲れがドッと出てほぼ屍状態。
昨日も復調できず、このメルマガをお休みしてしまいました。

まぁ、とにかく年内の出張は終了!
ほっ。

そんな先週の出張では、ある照明企業の社員に照明設計をレクチャーしてまいりました。
対象は、照明設計初心者。

この講座ではまず、照明設計のプロセスを基礎からきっちりお話しをします。
そしてその後、実際に課題物件の照明設計を自らの手で行っていただくというカリキュラム。
先週は、講座の仕上げとなる最終課題に対する照明設計の発表でした。

でね、私、受講された何名かの方々に苦言を呈さなければならなかったのです。
なぜならば、講座の冒頭で私が「絶対にやってはならない」と釘を刺してしたことをなさっていたから。

あれ程やっちゃだめって言ったじゃないの!

彼らが何をしたかって?
それは、照明設計に取り掛かった最初の段階で照明器具の選択をしたこと。
図面を見渡して、いきなり照明器具やシステムのカタログを捲ってしまったのです。

「初めからカタログを開いてはだめよ」
「照明設計のプロセスをひとつひとつクリアしてプランを詰めてゆくのですよ」

って、耳にタコができるくらい言ってきたのに…

このメルマガを長くお読みくださっている方にとっては本っ当~に耳タコだと思うのですが、照明設計あるいは照明デザインというのは、

・どのような場所か
・どのようなことが行われるのか
・どのような人が訪れる(or 滞在する)のか

などから空間の用途や目的を明確にし、

・光が照射される向き
・光の強さ
・光の色合い
・光の広がり

などからその空間における最適な光の状態を決定し、そのうえで

・適した光の質(光源)を決定
・照明器具またはシステムを選択(稀に製作することも)

し、それらを

・適切な位置に配置する

これが王道のプロセスなのです。

照明器具やシステムを選ぶことは、後の方の工程なの。
それを最初にやろうだなんて…

いや、彼らの気持ちもわからなくはないのですよ。
いわゆる『初心者あるある』みたいなものです。

照明設計を行い最終的に提示するものが照明配置図。
なのでその図面を作ることを目的化してしまう。
図面の作成にフォーカスするあまり、途中のプロセスを飛ばしてしまう。
そんな傾向があるのです。

要は、

・どの照明器具を
・どこに配置するか

ということだけに意識が集中してしまう。
しかし飛ばしたのは、

・空間の用途や目的の明確化
・空間における最適な光の状態の決定

という、照明設計の根幹となる最も大切なプロセス。
これを考慮せずに作ったものなど、とても照明設計とは言えません。

そんな大切なプロセスをすっ飛ばした結果は惨憺たるものです。
長年この仕事をしてきていますからねぇ、提出された照明配置図を見るとひと目でわかってしまうのですよ。

「あぁ、このプランは光の状態を考慮することなく器具レイアウトをしてきたな」

ってことが。
空間の、すなわち三次元レベルでの光の構築ができていないのです。
これを本当に施工したら大惨事になりますよ。

大切なことですので、今一度申し上げます。
照明設計を行うときは、いきなり照明器具を選んではいけませんよ。
必ずプロセスを踏んで行ってくださいね。

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vol.1374 鰻と光害

鰻、お好きですか?
私は大好物!
しかし近頃は年々お高くなって、なかなか口にする機会がありません。

蒸し、焼き、タレそれぞれに特徴があって、皆様各々にお好みの食べ方やご贔屓のお店があるかと思います。
私、というか我が家が贔屓にしているのは、東京都台東区竜泉の大和田というお店。
酉の市で有名な浅草 鷲神社の近く、というとどの辺りか見当がつくかもしれませんね。

丁度お店のはす向かいのお寺に母方の祖父母のお墓があるので、お墓参りの際に伺うのです。
というか、鰻を食べたいからお墓参りに行くと言った方が良いのかも…

「おじいちゃんもおばあちゃんもここの鰻が好きだったから、食べることでご供養になるのよね」

というのが毎度の口実。
祖父も祖母も、草葉の陰でさぞ呆れていることでしょう。

さて、その鰻と光の関係について興味深い論文が出ていました。

〈⽔辺の⼈⼯照明が⽇没直後のウナギの摂餌を妨げる〉
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/53607/23_0718_01.pdf

九州⼤学の研究チームが、⽔産重要種かつ絶滅危惧種であるニホンウナギについて、⽔辺の⼈⼯照明が⽇没直後における本種の摂餌活性の上昇を妨げることを発⾒したというのです。

要は、「ウナギは明るいと餌を食べない」ということ。

−・− 以下引用 −・−
ニホンウナギ Anguilla japonica(以下、ウナギ)は、我々に⾝近な河川や農業⽤⽔路に⽣息する夜⾏性捕⾷者の代表例です。ウナギは暗い環境を好み、⽇没直後にもっとも活発に移動し、新たな隠れ家や餌を探します。視⼒の低い本種は、匂いを頼りに餌を探すため、⽔中が明るくなることで餌を⾒つけやすくなる、といった⼈⼯光による恩恵は期待できません。反対に、⽔中が明るくなることによって摂餌活性が低下することが危惧されますが、詳しいことはわかっていませんでした。

(中略)

遊漁者はしばしば、ミミズなどを餌にウナギ釣りをします。そのため、ウナギの摂餌⾏動について多くの経験則を共有しています。例えば、ウナギは⽇没直後にもっともよく釣れるといわれます。これは、ウナギが⽇没直後に活発に摂餌するという学術調査の結果と⼀致します。遊漁者はさらに、ウナギは⽔辺の照明が点灯中には釣れず、消灯後すぐに釣れることを経験的に知っています。本研究ではこれらの逸話的な知⾒を踏まえて、⽔辺の⼈⼯照明によるウナギの摂餌活性への影響を調べました。
−・− 引用ここまで −・−

そこでこの研究では、15〜16 年前に計 17 地点で実施した趣味のウナギ釣り(計 49 回)におけるウナギ 124 個体の釣果記録を統計的に解析し、⽔辺に強い⼈⼯照明がある地点とない地点で、釣獲頻度が⾼い時間帯を⽐較したのだそうです。

すると、

・⼈⼯照明のない地点では通常通り、頻繁にウナギが釣獲されたのは⽇没から約 2 時間後まで
・⽔辺に⼈⼯照明がある地点では消灯後までウナギは釣れず、通常とは反対に遅い時間帯ほど釣獲頻度が上昇する

という傾向がみられました。

また例外的に、複数のウナギ筒(筒に隠れたウナギを捕獲する罠)が設置された 2 地点では、⽇没からの経過時間や照明の点灯時間帯に関わらず、ウナギが釣れたことから、ウナギの摂餌活性には好適な隠れ家の存在も関係しているようだとしています。

そして、この研究の結論として

−・− 以下引用 −・−
都市化の進⾏によって、⽔辺に⼈⼯照明がより広範囲に設置されたり、点灯時間帯
が⻑くなったりした場合、ウナギの摂餌活性の低下や、摂餌時間帯の遅延が起こると予想されます。ただし、好適な隠れ家があれば、⼈⼯光によるウナギへの影響は緩和されるかもしれません。ウナギの⽣息地保全の⽂脈ではこれまで、コンクリート護岸による餌⽣物の減少など、河川内環境の劣化がウナギに及ぼす影響が盛んに議論されてきました。本研究の結果から、河川内環境だけでなく、周囲の⼟地利⽤や光環境にも着⽬する必要性が⽰唆されました。
−・− 引用ここまで −・−

としています。

人工照明による光害(ひかりがい)は、

・街の照明光により星が見えづらい
・街路灯の光で田畑の作物の生育に悪影響が出る

などといった報告でご存知の方もいらっしゃるでしょう。

・水辺の人工照明がウナギの摂餌活性の上昇を妨げている

という光害を、私は今回のレポートで初めて知りました。

リリースの中にある

−・− 以下引用 −・−
ウナギは⽔産重要種でありながら近年までに⼤きく個体数を減らし、2013 年には環境省レッドリストで絶滅危惧 IB 類に選定されました。もし⽔辺の照明がウナギの摂餌活性を低下させているならば、栄養状態や⽣残率の低下を通して個体数の減少に寄与している恐れがあります。
−・− 引用ここまで −・−

という文章にはドキリとします。
種の保存が重要であることはもちろんのこと、鰻(を食べるのが)好きだという個人的な理由からも。

鰻、美味しいものね。
まだ食べていたいものね。
食べられなくなったら悲しい。

このような研究で様々な動植物の生態が明らかになってゆくことにより、将来、光環境をプランする際には

・光によって確保すべき安全性
・光によってもたらされる快適性と演出性

・周辺に生息する動植物の生態の維持

をどのようにバランスさせるのか調査、考察するプロセスが必要となることがあるかもしれません。

*12月14日、15日は出張のために配信をお休みします。
これで年内の出張は終了。
特にこのひと月は毎週出張が入っていたため、かなり疲れが溜まってきておりました。
この出張が終われば、ようやく一息入れることができます。ほっ…

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vol.1373 Audiの慧眼

高齢となった両親のサポートをするため茨城県の北の端っこに引っ越してきたのが2020年3月。
東京暮らしが長く、免許を持っていなかった私が当地で1年を過ごし、

「田舎では車がなければ(or 車の運転ができなければ)生活できない」

ことを思い知らされ、観念して運転免許を取得したのが2021年10月のことでした。

以来、今もなお、あの大きな装置を自分が動かしているという現実には慣れずにいますが、何とか人並みの田舎生活を送ることができるようになりました。

そうは言っても、流石に運転を始めて2年も経つと度胸はつくもの(決して技術が向上しているわけではない)。
最近では山道にもチャレンジしているのですよ。
先日は、我が家から30分ほど山を登った先にある渓谷へ、両親とともに紅葉狩りドライブに行ってまいりました。

免許取得の目的はこの田舎での生活を成り立たせること、ただそれだけでした。
でも、こうして行楽もできるようになると運転の楽しみが広がるものだということに気づきはじめたところです。

さて先日、近所の工業団地内の道路を運転していて交差点に差し掛かった時のことです。

対向車線のトラックが右折ウインカーを出して止まっていました。
私は直進でその交差点に接近中。
てっきり対向車線のトラックは、私の車が通りすぎるのを待っているのだと思っていたのです。

ところが・・・

そのトラック、パッシング(ヘッドライトを点滅させて合図を送ること)したと思ったらいきなり右折するではありませんか。

「ぇえ~~~~~っ!?」

この道路は最高速度の明示のない一般道。
私は60km/hきっかりで走っていたのです。
交差点にもう数十メートルで差し掛かろうというところでした。

「おんどりゃ、われ何しとるんぢゃぁ~っっっ ※$△¥◎&?#$!」

と私は言葉にならない怒声をあげ、助手席の父も

「おいおい、なんじゃこりゃ…」

と。
慌てて減速して事なきを得ましたが、何よこれっ(怒)!!!

運転する方ならばお気づきでしょうが、このような場面でパッシングすることがあるとすれば、私の側が停止して

「お先にどうぞ」

の意味でヘッドライトを点滅しトラックを右折させてあげる、というのが一般的でしょう。
結果からみて、今回のトラックの側のパッシングは

「わしが先に行くで!」

という意味のようなのですが、そんなの教習所で習わなかったわ。
こんな意味合いでのパッシングの使い方ってあるのでしょうか?

まあ、ドライバー間の意思の疎通は斯様に難しいものです。

ここで思い出すのが2016年4月1日の当メールマガジンで配信した記事です。

〈vol.494 Audiの新たな挑戦?〉
https://bit.ly/3TmATdc
*残念ながら、記事中のAudiのリリースのリンクは切れています。

要は、

「Audiが、LEDをマトリクス状に配置してドライバーのコンディションを顔文字で知らせるヘッドライトシステムをオプションで搭載」

というエープリルフール(!)の偽記事を紹介したものなのですが、今回のような出来事を体験してみると、

「これって ”あり!” じゃない?」

と思えてくるわけです。

「お先にどうぞ」
「お先に失礼」

などが顔文字、絵文字もしくは決められた記号で表示されることになれば、ドライバー間の意思疎通の助けになるのではないかしら。

2016年当時はエープリルフールの偽記事だったものの、その実、情報伝達機能付き前照灯システムの開発を密かに進めていたりして…

もしそうだとしたら「Audiの慧眼恐るべし」ですね。

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