vol.618 この色と輝きを引き出す光は…

うわぁ、大きなダイヤモンド!

<「夏の空のように美しい」ダイヤが競売に>
2016/10/12 日テレNEWS24
http://www.news24.jp/articles/2016/10/12/10343433.html

<「夏の空のように美しい」と言われる、珍しいブルー・ダイヤモンドがイギリスで公開された。

 光を受けて透明感のある青色に輝くダイヤモンド。重さは約8カラット。ロンドンの大手オークション会社「サザビーズ」が11日、公開したもので、夏の空のように美しい色から「スカイ・ブルー・ダイヤモンド」と名付けられた。

 ロイター通信によると、フランスの高級ブランド「カルティエ」が指輪にあしらったもので、来月行われるオークションでは日本円で約15億円から25億円で落札される見込みだという。

 オークションの主催者によると、ブルー・ダイヤモンドは南アフリカ共和国の1つの鉱山でしか採れない非常に珍しいダイヤモンドで、今回公開されたものは上位1%に入るほどの鮮やかさだという。>

大きい上にこんなに綺麗なブルーのダイヤモンドは、大変な希少価値があるのだそうです。
オークションで高値がつくと予想されるのも頷けます。
25億円かぁ…

このよう映像や写真を見ると、やっぱり私は気になるわけです。
どの光をどの様に照射したら、このダイヤモンドが最も美しく魅力的に見えるのだろうか…と。

この「スカイ・ブルー・ダイヤモンド」はなかなか手強いですよ。
光源選びがポイントになると思います。

まずは、点光源であることは必須ですね。
カッティングが施されていますので、煌めきを表現するためには指向性の強い光であることが求められます。

次いで、熱放射が少ないこと。
昔、宝飾関係の専門家から、ダイヤモンドは熱で色合いが変化することがある、という話をお聞きしたことがあります。

それから、光色は白。
「夏の空の様なブルー」であることを見せるには白い光以外には考えられません。

上記リンク先のリングがアップになっている場面では、どうやら青い光が照射されている模様。
モデルさんが手にしている映像からは、ブルー・ダイヤモンドの他は透明なダイヤモンドであることがわかります。
それなのに、アップの映像は周囲の石もブルーに染まって見えていますよね。
これが青い光を照射しているという判断の根拠です。

ブルー・ダイヤモンドの「ブルー」を強調したいのお気持ちは理解できます。
しかし、この石が本来もっている色の具合を見せるならば、このような恣意的な照明の仕方は感心しません。
やはり、白色光を用いるべきでしょう。

そして光源の分光分布は、可視光域の波長が満遍なく含まれていることが望ましい。
以前、バカラのシャンデリアの例でお話ししたことがあるのですが、周囲にボリューム感のある煌めきを放つことができるか否かは、分光分布によるところが大きいのです。

<vol.180 何かが違う―バカラのシャンデリア@恵比寿ガーデンプレイス[その1]>
http://bit.ly/1vpFzPy

<vol.181 LEDが輝きを鈍らせた!?―バカラのシャンデリア@恵比寿ガーデンプレイス[その2]>
http://bit.ly/2e00Xpe

煌めきは、ダイヤモンドの最も大きな魅力です。
この点は光源選びの重要な要素になるでしょう。

さて、このような要件を満たす光源は何か?
太陽光に近い分光分布(可視光域の波長が満遍なく含まれている)の白色LED光源があるのなら、それがベストだと考えます。

それにしても、カルティエによるこのリングのデザインは秀逸ですね。
とても素敵です。

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【光の教室-プライマリー クラス】
2016年10月期の第2回講座を、11月10日(木)に開催します。

テーマは「照明用語と単位/色彩のしくみ」
光の単位とその定義、そして色彩を表現するシステムと色温度、演色性について学びます。

<光の教室-プライマリー クラス 講座概要>
http://www.light-lab.com/cn11/cn13/pg184.html

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